給食の【サイクルメニュー】
給食施設では「サイクルメニュー」「サイクル献立」を取り入れている施設が多いです。意味は基本的には同じです。
「サイクルメニュー」とはどういうもので、どういったメリット・デメリットがあるのかご紹介していきます。
サイクルメニューとは
サイクルとは「周期」「状態が続けて変化し、再び最初に戻ること」という意味があります。ある一定のところで、最初に戻って繰り返し、ということです。
このような一定期間で繰り返すメニューのことを「サイクルメニュー」といいます。「サイクルメニュー」「サイクル献立」は基本的に同じ意味で使われます。
産業給食のサイクルメニュー
社員食堂などの産業給食でサイクルメニューを実施する場合、主に4週間でメニューが1セットである事が多いようです。
1週間分のメニューを、4種類考えます。それを1週、2週、3週、4週と設定します。4週分が1つのセットになります。4週分のメニューというのは、約一ヶ月分になります。
例えば、4月がスタートだとします。1週目、2週目、3週目、4週目まで進めると、5月の頭にはまた1週目のメニューが来るようになります。
さらに多くの場合は四季に合わせて、春・夏・秋・冬と分けています(A・B・C・Dや数字での表現もあるかと思いますが、四季の方が感覚的に分かりやすいので、今回は四季で書いていきます)。
春メニューは4月・5月・6月、夏メニューは7月、8月、9月・・・と区分けします。3ヶ月を大きな1くくりにするんですね。旬の食材や冷やしメニュー・暖かいメニューなどが入れ変わるため、四季に合わせている場合が多いです。
こんな感じのイメージです。4週サイクルを3ヶ月続ける。それが4回で12ヶ月となり、これで1年分となっていきます。
1月になったら冬の1週目、4月になったら春の1週目を始めます。下のカレンダーのような感じで進んでいきます。同じ色の週は、基本的には同じメニューで回していきます。
保育園のサイクルメニュー
保育園でサイクルメニューを実施する場合、主に半月で同じメニューになるよう設定している事が多いように感じます。
1週目、2週目を実施し、3週目には1週目のメニュー、4週目には2週目のメニューを繰り返します。1ヶ月の前半と後半で同じメニューを2回実施するイメージです。
サイクルメニューのメリット
こうしたサイクルメニューを実施する事にはメリットがあります。
サイクルメニューのメリット①料理・食材に慣れることが出来る
乳児~幼児は初めて見る食材・料理に警戒することも多いです。同じ食材でも別の料理に入っていたり、調理方法が違うと嫌がる事もしばしばあります。近い期間で同じ食材や料理を見ることで、記憶に残りやすくなります。
2週ごとであれば近い間隔で同じ料理が提供されます。このため、見たこと・食べたことがある料理であることで食事への安心感も生まれると言われています。1週目では食べる事ができなかったけれど、お友達が食べているのを見て、次の提供日には食べる事が出来ると言うこともあります。
サイクルメニューを実施していても、お誕生日会や行事は
イベント献立を提供している園がほとんどです。
大人相手であっても、記憶に残っている間に同じ料理を提供した方が良い利点もあります。食べたいメニューが被ったときに、「次回はもう片方を食べよう」などの行動が取れるようになります。
サイクルメニューのメリット②調理の効率化
同じメニューを実施することによって、調理方法などの内容を把握しやすくなります。把握することによって調理作業員の作業効率が良くなります。また、レシピや作業の修正もしやすく、味の安定化につながります。
産業給食の場合は素早い提供が特に求められます。メニューに慣れることによって、盛り付け時間も早くなります。
サイクルメニューのメリット③献立作成の効率化
サイクルメニューであれば毎日異なるメニューを考えるよりも、作業時間が短縮されます。また、発注作業や食品管理の作業時間も効率化できます。
サイクルメニューのメリット④食品ロスの減少
同じメニューを繰り返すことによって、おおよその残食率がわかります。ここから調理量などを変更し、残食を減らし、食品ロスに繋げる事が出来るようになります。
サイクルメニューのメリット⑤人気メニューの食数設定
産業給食では、定食だけでなく色々な料理を提供することが多いです。
色々な料理を提供していると、人気差が出てきてしまいます。人気メニューは売り切れる可能性が高くなるので、設定する食数を増やします。サイクルメニューの実施によって、前回の売り切れ時間などを参考にし、食数の予測が立てやすくなります。
上手に数の予測が出来れば、利用者の満足感につながります。
サイクルメニューのメリット⑥利用する人もわかりやすい
月曜日は○○、火曜日は△△と決まっていると、メニュー選択が楽だと感じる人もいます。
色々選択肢が合った方が良い人、なるべく規則的な方が良い人、色んな人がいます。
サイクルメニューのデメリット
サイクルメニューを実施する事にはデメリットもあります。
サイクルメニューのデメリット①飽きやすい
なんといっても「飽きやすい」につきます。大人の場合は特に「またこれか」と思われがちです。
単一定食スタイルの食堂でなければ、イベント、肉の主菜、魚の主菜、麺、カレーなど視野を広げていただけると、実はそうでもないんですが・・・
個人的には、女性より男性の方が「飽きやすい」とおっしゃっている気がします。女性は自分が調理することも多いことから、調理の大変さを感じて、そう言わないのかもしれません・・・。また、女性の方が色々な料理に興味を持ってくれやすいという実感があります。(あくまでも傾向です)
「飽き」がこないよう珍しいメニューを提供しても、あまりメジャーでないものは「知らない料理」という事で敬遠されてしまったりします。
同じサイクルでも、前回とは違うメニューをピックアップして
展示、掲示してみるのも一つかもしれません
サイクルメニューのデメリット②手抜きだと思われてしまう
メニューに代わり映えが無いと、あまり考えていないんじゃないか、手抜きなんじゃないかと思われてしうまう可能性もあります。
まとめ
サイクルメニューとはどういうもので、どういったメリット・デメリットがあるのかご紹介しました。
給食にはおおよその販売価格帯や設備の問題、提供時間など色々な制約があります。立ち位置によって良い面・悪い面ありますが、サイクルメニューは効率よく提供するためには良い考え方だと思います。
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