会食恐怖症とは
原因は色々あります。中でも多いのは、小学校などの給食で「残さず食べなければならない」いわゆる「完食指導」で無理に食べさせられた事が原因とされています。
ざっくり言ってしまうと、人前で食事することが困難である症状をお持ちの方です。
今回は学校給食などについて見て行きます。
食事を残さず食べる事
まず残さず食べた方が良い理由とは何でしょうか。
・好き嫌いは無い方が良い
・栄養バランスが良い
・残すというのはもったいない事
・作ってくれた方に失礼
・・・など、残さず食べる事は確かに大切ではあります。
食べる事が出来ないものに出会った時
例えば給食で残したらいけないという指導の下で口に入れたくないものが出てきたら、どういう事があったのでしょうか。
・給食の時間を過ぎても席から離れる事がゆるされなかった
・次の授業中もそのまま座らせられていた
・その食品を見ただけで腹痛、吐き気、嘔吐などの症状が出てくる
そして、給食を食べたくないがために登校拒否になる事も起こってしまうのです。
その食品を食べ慣れる事
最初は嫌いでも、食べているうちに「食べ慣れる」という事も確かにあります。ですが、それは本当に見極めが難しいです。私自身も嫌いな物を「食べ慣れ」て美味しく食べる事ができるようになった経験があります。ただ「いつか食べ慣れる」と思って食べていたわけではありません。
何回かチャレンジはしたけれど、今でも苦手な食品はあります。
会食恐怖症にならなくても・・
人と一緒に食べる事ができなくなる症状まで出なくても、完食指導で大人になっても特定の食材に苦手意識が残ってしまう事もあります。
例えば保育園では、ご飯に味が無いと食べる事ができない子もいます。最終手段として、好きなものをご飯に混ぜて食べさせる事があります。これと似た対応で、嫌いな物を好きな物に少し混ぜたりすることもあります。ご家庭でも使う手段ではないでしょうか。
苦手なものに気付かず食べる事ができる成功例もあります。しかしそれによって、もっと食べる事ができなくなったりする事もあります。
過去のいやな記憶で、大人になっても食べる事ができない食材があったりします。うどんのつゆに苦手なものを混ぜられて吐きそうになったという記憶で、その食材は全く食べる事ができない。頻回に出てきていた嫌いな物が食べられないどころか見るのも嫌。などの事例もあります。
今迄の取り組みを覆すこと
食事の現場にいる保育士や先生達は、いつも頑張って子ども達に食べさせてくれています。もちろん栄養士が巡回したり、栄養の授業をした時にも話していた事と思います。それがいわゆる「普通」でした。それは、食べてもらう事が、子ども達のために、健康のためになると信じて行ってきたことです。
ですが、自分が苦手なものを無理に食べるのは苦痛でしかありません。また、嫌いな食品を食べる事ができないというだけでなく、食が細ければ残さず食べるという事ができません。
今迄やってきた事を転換するにはなかなか難しい部分はあります。しかし、見直さなければならない部分です。一方で誰かだけに「食べなくてもいいよ」というと、「ずるい」「私も食べたくない」などの声があがったりするかもしれません。集団生活の難しい所です。
それぞれの対応
「みんなちがってみんないい」という言葉もありますが、日本の集団生活ではなかなか難しい所では・・・と思う部分もあります。まずは「1口だけがんばってみよう」と声をかけて様子を見ます。それもだめだったら「食べようとチャレンジした事はいいことだね」等の言葉かけをするなどでしょうか。
まずは食事終了の時間を決めて、そこで食事は終わり。終了時間は過ぎるけれど、まだ食べたいのであれば相談して食べすすめる。・・・そんな感じで良いのかなと思います。
会食恐怖症に関しては給食に携わるものとして
少なからずショックだったのが本音です。
ご本人や先生方、どちらにも負担が無い方法はどういった事でしょうか。
どっちも「間違い」ではない
「残さず食べたほうがよい」も「嫌いな物を無理に食べる必要はない」も、どちらも間違いではありません。だからこそ難しい所です。今迄の完食指導も全く的外れなわけではなく、これによって苦手を克服したこともあるでしょう。
どんな事にも個人差があります。先生だけでなく「その人」にとってどこまでが可能なのかを見ていく目を養なっていく必要がありますね。
まとめ
会食恐怖症について書いてきました。
基本的に大人は「子どもだから」と思いがちな気がします。「子どもはそんなに覚えていない」とも。
給食の完食指導が間違っているとは思いません。ですが、もっと柔軟な、それぞれの個にあった対応ができるといいなと思います。そのためには絶対に人手が必要です。学校・保育園などでの見守る側のリテラシー強化と人員増加がかなうといいなと思います。
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