【熱中症対策】「厨房が暑い」時の対策は?

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厨房の暑さは、わかってもらいにくい

厨房や給食室、調理場は火を使って調理するため、暑くなりがちです。夏は本当に過酷な事も多いです。

それを訴えても、分かってもらえない。熱中症の危険を回避したい。・・・そんな時の対策案です。

実際の気温・室温を計測する

現場によっては、厨房に専用の空調がなく、温度設定が自分たちでで変更できない事もあります。「室内が暑いので温度を下げてください」と上長に言葉で言っても、なかなか伝わらないことがあります。

そして、「空調の設定温度は規定通りになっている」とか「厨房だけ設定温度を変更はできない」など言われがちです。

こういった時が一番困るのではないでしょうか。

厨房経験がない人に、空調の設定と厨房内温度がかなり違う事は、理解してもらいにくいです。人間は体験したことがない事象はイメージがつきにくい場合が多いので、これは仕方の無い事かもしれません

①現状把握

こうした場合、まずは現状を数字で理解して貰うことが大切です

  • 日時
  • メニュー
  • 測定場所(数カ所)
  • 外気温(予想最高気温など)

などのポイントを決めて、温度や湿度を計測して記録します。その上で相談に行くと良いと思います。

あくまで例えばですが、こんな感じのイメージです。

記録期間は1~2週間以上

私が知っている事例では、室温記録を1ヶ月ほど行って報告したところ、対応して貰えたという事があります。指定されて1ヶ月計測したのではなく、1~2週間でも良かったのではないかという話でした。

メニュー名か、調理法も書いておく

火を使うことで、厨房の室内温度が上がります。

煮込み料理や揚げ物など長い時間火を使い続けるメニューと、スチームコンベクションだけで済むメニューとでは、室内温度の上昇具合は変わってくると考えられます。

そのため、メニューや調理方法を記載しておくと、比較しやすくなります。

測定する場所を決める

空調の吹き出し口の下、ガス台付近、洗浄機付近など、測定場所を決めておくと比較がしやすいです。

一方で、作業中に計測・記録する余裕がなければ、1カ所にするのもアリです。狭い厨房であれば、分けて計測する必要もないかもしれません。その場合には常に暑いと思う場所や、作業員がよく立つ場所に温度湿度計を設置して記録するなどでも良いかもしれません。

記載する時間を決める

調理前・調理中・調理後などで時間を決めて記録すると、時間帯での比較が出来るようになります。

作業の都合上、決められた時間に記録が難しいようであれば、作業員が今が一番熱いと思うタイミングでも良いかもしれません。その場合には、計測した時間も一緒に記録しておくと良いと思います。

多分、加熱調理中が一番暑いので、おおよそ似たような時間になるのでは?と予想します。

加熱調理時間帯や、食洗機使用時など、室温があがるタイミングがつかめると、そのタイミングでだけでも設定を下げて欲しいと伝えることも出来ます。(電気代が気になると思うので・・・)

外気温(予想最高気温)も書いておく

実際の外気温を計測できれば、それが一番良いです。が、それが難しい場合には予想最高気温を書いておくのも一つです(予想が外れる事もありますが・・・)

外が暑ければ、室内も暑くなります。外気温と、室内気温が比較できるとわかりやすいです。

寒いときにも記録を!

夏に暑いだけでなく、冬場に非常に寒くなる現場もあると思います。

その際にも、室温記録をして、掛け合うことが大切になってきます。

②データをもって話しに行く

事前に、厨房が暑いので困っているという内容と「実際の室温を記録するので、結果を見て検討してください」とお話しをしておくのも良いかと思います。

現場によって、厨房の広さや機密性、設置されている厨房機器には差があります。その為、調理経験者であっても、その現場に立ったことがない場合には理解してもらいにくい可能性もあります。

そのため、実際の数値を持って行くと理解しやすい場合が多いです

厨房の暑さを体験したことがなく、イメージがつかない人には、厨房がどうして暑くなるかの理由と、どう室温が上がっていくかを説明することも大事です。その為にはどんなデータが必要かと言うことを考えて、記録する項目も変更します。

労働環境には基準がある

労働環境には基準があります。

労働安全衛生法という法律の、令和3年の改正で

・ 空気調和設備を設けている場合は、労働者を常時就業させる室の気温が18度以上28度以下になるように努めなければならない。(改正前は17度以上28度以下。)

と、あります。ただし、これはあくまでも事務室用の基準です。

大量調理施設衛生管理マニュアルの基準

衛生の部分では、「大量調理施設の衛生管理マニュアル」の「(2)施設設備の管理」の項目に

⑤ 施設は十分な換気を行い、高温多湿を避けること。調理場は湿度80%以下、温度は25℃以下に保つことが望ましい。

という記載があります。

一方で、厨房内は熱源が色々あるので、タイミングによっては温度を超えてしまうのは仕方ない部分もあります。

法律やガイドラインをうまく使う

こういった法律やガイドラインを持参し、データを見て貰うと、温度設定の変更をご理解いただける可能性が高いと思います。

大量調理施設の衛生管理マニュアルは、専門職でなければ知らない内容だと思います。マニュアルを示して、「衛生のために必要なんです」という側面から話す方が良いかもしれません。

また厚生労働省や環境省などから、熱中症に関わる様々な情報が出されています。熱中症に関しては、「個人の問題」ではなく「職場の問題」という視点に変わってきています。

③実際の対策を検討する

しばらくは計測を続ける

設定温度を下げる対応してもらっても、まだ暑い可能性があります。計測を続けておけば、設定温度をさらに下げて貰うなどのお願いをしやすくなります。

設定温度だけでは対応できない場合

残念ながら、実測値を見せても空調の設定温度を下げて貰えない場合もあるかも知れません。

また、設定温度を最大限下げても、暑い可能性もあります。その際には以下のような別の対応も必要になってきます。

メニューを考慮する

まずは前述した記録が大事です。調理法によって、室温の上がりやすさを確認できます。

その上で、空調の温度調整ではどうにもならない場合などにメニューを考慮します。

室温が上がらないメニューは何か?

火を使い続けるメニューは、熱源がずっとあるため、暑くなりやすいです。

そのため火の使用を短時間にできるメニューを優先的に組み込むのも対策の一つになります。

油をずっと火にかける揚げ物、鍋をずっと火にかける煮物。これらば室温を高くしがちです。

その為、揚げ物や煮物は回数を減らしたり、スチームコンベクションを使用していくと少しはマシになると思います。(揚げ物、煮物はスチコン調理では美味しくないという声も多いのが難点ですが・・)

普段はコンロ2口、しっかり使う厨房で、1口しか使わない。それだけでも随分室温は変わります。

クーリングアイテムを使用する

クールリングを利用する

最近はクールリング(ネッククーラー)が色んな所で販売されています。冷蔵庫や流水で冷やすと凍るアイテムです。こういったアイテムを利用するのも一つです。

クールリングであれば、洗剤で洗うことも、アルコール消毒することもできます。(食洗機・熱湯消毒・乾燥機などは無理です)

しかし、室内温度が高ければ、内容物がすぐ溶けてしまいます。厨房内の冷蔵庫に、衛生基準が守れる上で置ける余裕があれば、数個冷やしておく事を検討しても良いのかなと思います。冷蔵庫に余裕がなければ事務室などの冷蔵庫に置かせてもらえないか相談するのもよいかもしれません。

厨房で利用する際には、液体漏れがないかなどのチェックも重要になってきます。

クールリングにはペット用もあり、落ちにくいようにボタンが付いています。落とすことが心配な方は、こういったアイテムを探してみても良いかもしれません。

保冷剤を活用する

保冷剤を活用する方法もあります。

保冷剤を入れて、首に巻きやすいようにしたアイテムもあります。タオル製なので、洗濯ができます。また、万が一、保冷剤が破れても、内容物が食材などにたれてしまう可能性が低いです。

保冷剤がご自宅の冷凍庫に沢山あまっていれば、活用できます。

汗も吸ってくれるので一石二鳥です。

類似の商品は他もありましたので、良さそうな物を探してみるのも良いと思います。

窓の断熱シートを活用してみる

窓(ガラス)は熱を通しやすいと言われています。

室内を冷やしても、窓からの熱で気温が上がったり、冬は逆の現象が起きたりします。

これを軽減する為に窓の断熱シートで対策をしてみるのも一つです。

また、窓の位置によっては太陽光が明るいだけでなく、熱も入ってきます。ブロックするための日よけシェードなども効果があるかもしれません。

× ハンディファンなどの電気機器は推奨しない

厨房内でのハンディファン利用は推奨しません。ハンディファンは暑い場所では熱風を送ってしまいます。洗浄機の近くで暑い湯気を顔に送ってしまったら大惨事です。

気温35℃以上でのハンディファンの使用は、熱中症を引き起こす可能性が高まるとメーカーから注意喚起もされています。

さらに電子機器を厨房内に持ち込んで、水がかかると危険です。また、何かの拍子に落としたり壊れたりするのも問題です。(これらの理由から、冷却機能付きのネッククーラーも推奨しません)

さらに、衛生的にも懸念が残ります。

別件ですが、ベビーカーでの使用は注意が必要です。アスファルトなど道路面が近くなると輻射熱でさらに温度が上がったりするからです。お子さんは、温度調節機能がまだ未成熟なので大人より危険です。

個人的には30℃以上でも熱風と感じそうだと思いますが・・・

他にもどんなアイテムがあるのか・・・

他にもどんなアイテムがあるのか・・・衛生上、異物混入上、危険がないかなど確認しながら活用したいです。

熱中症対策の問題

温暖化が進み、今後は熱中症対策が必須となっていくかもしれません。

「昔は我慢してきた」など言われたとしても、外的環境が変わってきている以上は、それに習う必要はないと思います。

その際に、対応してもらうにはどうやって伝えていくのか、対策にはどんなアイテムがあるのか、今後も考えていく必要があると思います。

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