実習生を受け入れた経験
委託給食会社在籍時、産業給食施設で実習生の受け入れを経験しました。何年かの間で、短大大学併せて6校から50人くらい受け入れる機会を貰いました。
ここでは主に学生さん向けに、私が実習を受け持った際に感じた事を書いていきます。少しでもよい実習ができるように、困りごとや心構えの助けになればなぁと思います。
産業給食でしか受け入れした事はないですが、どの現場でも根本的な所は同じだと思います。よければ参考にしてください。
現場や担当する栄養士さんによっても違うかもしれませんが、
少しでも参考になれば嬉しいです。
実習で学生さんにやってもらったこと
着替えて作業ができるように準備をして9時に厨房に入れるよう、出勤してもらいました。
切り物、小鉢の盛り付け、営業の準備などを一緒にしてもらいます。11時から(現場によって前後しますが)の営業時間中は営業に参加してもらい、営業時間終了後は片付けも行ってもらいました。
2時頃に昼食をとり休憩、その後は片付けに短時間参加し、残り2時間程度は私の現場についてなどの説明と実習ノートを書く時間としていました。
実習生を受け持って感じた事
4時間以上立っていられるか・・・
産業給食では接客が大きな業務の1つです。また事前の準備も接客中も立ちっぱなしです。産業給食だけでなく病院厨房業務なども立ってる必要があると思います。
学生さんは、知らない場所や「お客さん対応」に緊張してしまいます。そして、長時間立っている事や接客に慣れていない為、余計に疲れてしまいます。
そうすると、最初の1・2日目は栄養士実習にならなくなってしまう事がありました。
4時間程度立ち続ける体力が無い方は、ちょっと気を付けた方がいいかもしれません。
可能であれば接客や立ち仕事のアルバイト経験があると良いかもしれないと思います。アルバイト経験がなくても、運動部に所属していた、吹奏楽部に所属していたなどしていた方は、疲れにくく、周囲を確認する事ができていたように見えました。自分の体力を振り返ってみるといいかもしれません。
また、お金を稼ぐ経験をしておいた方が、学びになるのでは・・・と感じました。
現場での初日のご挨拶のおすすめ
初めての実習日には、朝礼などでご挨拶いただくことが多いと思います。
「ご迷惑をかけないように頑張ります」等の挨拶をしがちです。私自身も実習時にそうご挨拶した気がします・・・。
現場は、仕事が増えて大変になるのを承知した上で実習を受け入れています。怪我をしないように、など様々な気配りをしています。いつもよりは大変です。でも、それを承知して「実習は学生さんに必要なものだから」と受け入れをしています。
ですので、できれば「ご迷惑をおかけしますが、その分一生懸命勉強させていただきます」等の心持ちでいた方が良いかなー・・・と思います。
学生さんが来る事で現場が活気づいたり、学生さんからの質問を受けてハッと気づいた事など現場に良い影響を与えてくれたりもしています。その点は書いておきますね。
「迷惑」や「大変」ばかりではありません!
毎日の挨拶をしっかりと
これもバイト経験があるとないのでは違うと感じた点です。バイトをした事が無い人は、出勤時や厨房に入る時の挨拶をどうやってしたら良いのかタイミングがわからずに戸惑っている事がありました。慣れない場所ですから余計難しいとは思います。
(施設の作りにもよりますが)手洗いをして、仕事できる準備ができて、ここから入る時に「おはようございます」って厨房にいる人に聞こえるようにしてね。『私、来ました』っていうお知らせだからね。と伝えたりしました。
実習はただでさえ緊張する場だと思います。事前に出来る事はしておくのがお勧めです。
お皿はしっかり確認を
盛付時に似ているからいいだろうと別のお皿を使用にないように注意して欲しいです。似ているものが意外とあったりします。
お客様が来た際にわからない事があれば、焦らずに「少々お待ちください」と、声掛けしてから誰かに確認すれば大丈夫です。もし、オートレジを使用している現場だったら価格に直接かかわります。少ない金額ならまだしも、多くいただいてしまったら大問題になります。
自分を守る為にも、知らない事は「確認します」と言えるといいなと思います。これは実習に限ったことではないですね。
実習の記録に関してのおすすめ
実習ノート、実習記録など呼び方は学校によって様々です。私が記録を書く際に学生さんにお願いしていた事をちょっと紹介していきます。
人間は忘れやすい生き物です。1週間後2週間後、レポートを書くころには思った以上に忘れてしまいます。パートさんや調理師さんから聞いた野菜の切り方のコツなども書いておいた方が、レポートのネタになったりします。
学校の先生から、そういう事を書かないように言われていたとしたら、自分用のメモを取ると良いとお思います。実習先の栄養士が私と同じような事を言ったとしたら、「記載するよう言われた」と先生に伝えれば良いです。(もしくはノートのどこかに書いておくとなお良いですね)
栄養士が現場で実習生を常に見る事ができない場合もあります。栄養士以外から教えてもらった事を、栄養士目線でお話する材料になる事もあります。また、現場側の事情になりますが、書いておいてくれると実習生に教えたくれた人に感謝を伝える事もできます。
これは学校の先生からも言われている事だと思います。読みにくいですから気を付けた方が良いです。
口頭で質問を受ける事が出来ず「ノートに書いておいて」と指示される現場もあると思います。ですが、「質問ある?」など聞かれた時には、直接聞いてくださいね。
ノートに書くネタに困るから「質問しないでノートに書いちゃおう!」と思うのではなく、質問した事、回答してもらった事、両方ノートに書いてもらうのが良いと思います。その上で、想定通りだったのか新たな認識だったのか書いても良いかもしれませんね。
私は「このくらいの時間に来るから、質問があったら遠慮なくしてね」と毎日実習生に聞きに行っていました。ですが直接質問がなく、ノートに質問が書いてあった上に思い込みの内容が書いてあって、残念に思ってしまった事があります。逆に、学生さんからの質問に回答したのにノートに何も書いてなくて、わかってもらえたのかなぁと感じた事もありました。
レポートのネタだけでなく、実際に就職した時に役立つこともありますので、色々書いておくのがお勧めです。
ノートにはメニュー表を貼ったり、人員構成を書いたり、厨房見取り図を書いたりするページがあったりします。そこを埋める資料は基本的に自分から聞いて欲しいと思います。企業内は写真NGだったり、メニュー表をそのまま渡せない事もあります。後から急いで転記したり書いたりしないで済むよう、最初にしっかり確認する事も大切です。
これも実習に限らず大事な事です。
「知らない現場で何を見せてもらえるのかわからないに、目標は書けない」と思った事ありませんか?・・・私が学生の時にはそう思っていました。ですが決めておくと、その日に何に注目して実習すれば良いのかが、自分でもわかりやすくなります。
目標を決める事が苦手な方は「野菜の衛生的な取り扱いについて確認する」「大量調理で気を付けるべき点を現場で学ぶ」など・・・まずは教科書の目次を見て、目標らしく書いておくのも一つだと思います。
そうすると教科書と現場でのやり方が比較できたり、現場で細かく気を付けている事に気づく・・・などができるようになります。色々気づけるようになれば、その気になった事を次の目標として立てられると思います。
決めた項目を確認できなかったときの為に、2つくらい目標を決めておくと良いと思います。目標が書いてあれば、現場の栄養士もお話がしやすくなります。
実習先で聞かれたりするかもしれません。そもそも自分自身が「学びたいことってなんだろう」と思っているかもしれないですね。。
実習は実際の現場で見ることで「学校で学んだ事をどう活用できるのか」「資格を用いた仕事に必要な事はなにか」を感じる大切な機会です。実際に社会に出て働く心構えを持つ機会でもあります。
・机上で学んだ衛生管理の実際の活用方法を知る。
・栄養管理はどうやってやっているのか。栄養計算ソフトをどうやって活用するのか。
・栄養相談などで気をつけることは何か。教科書には「留意する」等書いてあるが、実際のケースや言葉使いはどうなのか。
・実際に自分が働くとしたらどんな事をすればよいのか。
・実習を通して自分に足りなかった知識・技術は何か。
・今まで勉強してきたことの内容や意味を見直す。
などなど、色々ピックアップしておくと良いのではないでしょうか。
お礼状の切手は忘れずに!
学校で先生が口をすっぱくして注意していると思います。ですが、忘れた学生さんがいます。
オフィスビルや企業内の建物だと郵便局の方はそのまま入れません。間に別会社の方が入る事が多い為、何かあった時に他の方にまでお手数をかけてしまいます。
切手を貼ってポストに投函するのではなく、郵便局の窓口から出すと間違いが無いです。また、友人といる時に確認してもらってポスト投函するのも一つの手です。
自分が栄養士にならなくても
実習に行く時にはすでに就職が決まっている事もあるでしょう。実習とは違う職域の栄養士だったり、栄養士とは違う職業だったり・・・という事もあると思います。
基本的には社員食堂という場所はその会社の社員さんしか入れません。そこに入れるのはかなりレアな機会です。栄養指導等をする機会が予定される場合、対象の方が現役会社員であれば社員食堂を想定した話にイメージがつきやすいのではないでしょうか。
たとえ今は栄養士を目指していなくとも、何かの折に仕事を変えたりパートで働く・・・なんて事もあるかもしれません。せっかくの機会ですから、色々見て行って欲しいと思います。
実習生の受け入れで私自身が学べたこと
私が初めて実習を受け入れる事になった時、現場には先輩栄養士がいませんでした。
私は短大卒なので、大学の方と比較すると授業数も少なく、実習に行った期間も短かったので、どうしようかと思いました。自分の実習ノートを見返したり、他の店舗の栄養士さんから色々教えてもらいました。
そういった時に、自分の実習ノートがちゃんと書かれていなかったので悲惨でした(笑)
「どうして栄養士になったんですか?」「やりがいは何ですか?」という鉄板な質問にもどう答えるか・・・。色々考えました。また、「教える」ためには業務の意味を自分がよく理解していないといけません。どう答えるか、どう組み立てて話をするか、どう考えて業務をしているか、どう感じているか、どう伝えたいか・・・よく考えるきっかけとなりました。
学生時代、現場の栄養士さんも学校の実習担当の先生もきっと大変だろうなと、思っていました。実際に実習を受け入れてみると思った以上に大変でした。施設側から見ると学校の先生方の大変さは思った以上に大変だろうなと感じました。
本当にありがたい経験をさせてもらいました!
実習は本当にありがたい機会です。
その職につかなくても、得られるものが沢山あります。
まとめ
主に学生さん向けに、私が実習を受け持った際に感じた事を書いてきました。少しでもよい実習ができるように、困りごとや心構えの助けになればなぁと思います。
産業給食でしか実習生を受け入れた事はないですが、どの現場でも根本的な所は同じだと思います。参考にしてもらえたら嬉しいです。
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