「医師の○○%」「栄養士の○○%」が推奨は本当なのか?
栄養補助食品や普通の商品に「医師の○○%」推奨や、「栄養士の○○%」推奨とついている時があります。さて、これは本当なのでしょうか?
また、どういった意味があるか、気をつけて欲しい事をご紹介します。
「推奨」とは?
「医師の○○%」推奨や、「栄養士の○○%」推奨・・・そんな言葉がついていたら「健康に良さそうなもの」と感じるのではないでしょうか?
まずは「推奨」とはどういう意味なのでしょうか?デジタル大辞泉から引用します。
[名](スル)すぐれている点をあげて、人にすすめること。「公立図書館の活用を推奨する」「推奨銘柄」
https://www.weblio.jp/content/%E6%8E%A8%E5%A5%A8
例えば、野菜ジュース
嘘はついていない・・・?
例えば、とある野菜ジュースですが「管理栄養士の98%が推奨」とあります。
この「推奨」に関して、ちょっと細かい部分を見ていきましょう。
評価方法:管理栄養士におけるアンケート調査/2021年12月/アンケート回答者:全国医療機関773 施設/管理栄養士各1名/質問:「1日分の野菜」を選択肢の1つとして野菜や栄養が不足している方に紹介したいと思いますか?評価商品:1日分の野菜 紙200ml/調査機関:株式会社ファンデリー調べ
https://www.itoen.jp/yasai/ichinichibun/
こちらは商品ホームページから引用した「98%に関しての説明」文章です。パッケージにもこういった情報は記載があったりします。
これを見ると、773人の管理栄養士にアンケートを取って98%が推奨されたと言う事のようです。
その数字はどういう数字なのか?
厚生労働省の資料では2021年、管理栄養士の人数は 264,181人だそうです。
人数だけで単純計算すると、アンケートでは管理栄養士全体の0.29%の意見しか聞いていないわけですね。(色々仮定すべき事はありますが、設定が難しいので単純計算しました)
数字だけ見ると、かなり偏った少数の調査だと言えるでしょう。
*ちなみに管理栄養士有資格者皆さん全てが就業されているわけではないです。また、管理栄養士の勤務場所は医療機関だけではありません。学校、保育園、会社、保健所、役所、老人施設などなど、色々あります。
アンケート結果と、そこから解釈されてしまうもの
このアンケート。質問文は『「1日分の野菜」を選択肢の1つとして野菜や栄養が不足している方に紹介したいと思いますか?』です。
「紹介」の意味をデジタル大辞泉で確認しました。
1 未知の人どうしの間に入って引き合わせること。仲立ち。「知人の紹介で就職する」「友人を家族に紹介する」「自己紹介」
https://kotobank.jp/word/%E7%B4%B9%E4%BB%8B-530753
2 知られていない物事を世間に広く教え知らせること。「雑誌で紹介された店」「日本文化を海外に紹介する」「新刊紹介」
ざっくり言うと「紹介」はお知らせ、「推奨」はおすすめ。
「1つの選択肢として紹介したいか」という質問なので、結果を「推奨」と繋げてしまうのはちょっと無理矢理な気がします・・・。
そもそもの前提の欠如
紹介したい対象が「野菜や栄養が不足している方」なので沢山の方が買い物をするスーパーやコンビニで陳列される商品にはつけてもらいたくない表示です・・・。
私も管理栄養士ですが、野菜ジュースを諸手を挙げて推奨はしていません。基本的に、野菜はジュースにするより、野菜のまま食べた方が利点が沢山あるからです。
ただ、場合によっては紹介する可能性はあります。
- 食が細く、工夫しても量を食べることができない方
- 野菜の味や食感が苦手で受け付けない方
- 胃腸に不調を抱える方
- 仕事上の都合などで、どうにも出来ない方 などなど
事情がある場合には、できる限り野菜を食べた上で「補助的に」と言うことで紹介する可能性はあります。「選択肢の一つとして紹介したい」と回答した管理栄養士は多分ですが同じような考えではないかと思います。
糖分や塩分の問題もありますから、全ての方には推奨しません。
↓ 野菜ジュースなどで気をつけて欲しい事をご紹介しています ↓
その情報の精度がどうか気をつける
実際には何人が推奨?
この例以外にも「医師の○○%が推奨」「管理栄養士○○%が推奨」という商品は色々あります。
こういった場合はパッケージに、調査対象の人数が書いてあることが多いです。調査人数が少ない場合には、調査に都合の良い返答をしてくれる人ばかりを集めた可能性も考えられます。
どんな内容の調査だったのか
アンケートの文面や回収率などが出ていないのは信頼性に欠けてしまいます。
どんな人にアンケートを採って、どんな風に推奨するのかの結果を確認できると安心ですね。
どんな選択肢だったのか
「非常に満足」「やや満足」「満足」「不満」
アンケートの選択肢には、こういった言葉がよくあります。
この場合、不満以外は「満足」にまとめて集計されてしまう可能性もあります。これは、アンケート回答者の意図とずれてしまう可能性があります。
まとめ:推奨という言葉の見方
今回は、「管理栄養士推奨」という商品をメインに表現を見てみました。
有利そうな情報を出し、いかにオススメをするかというのはこの商品に限ったことではありません。自社製品をよりよく表現するのは商売の基本だと思います。
これは顧客満足度○○%などの言葉を使ったり・・・、色々な商品・サービスが使う手です。
その裏にどんな内容や事情があるのか、探してみるのも良いと思います。
情報の氾濫する中ですから、私自身が自分で精査できるよう日々精進しなければと思います。
スポンサーリンク