1日分の野菜 「350g」ってどこからきた数字??

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1日分の野菜 「350g」ってどこからきた数字??

「野菜1日350g」・・・そんなワードを見たことがある方も多いのではないでしょうか?

なんでそんなに食べないといけないのか?と感じる事もあるかもしれません。

ここでは、どうして「350g」なのかということを見ていきます。

引用部分はちょっと面倒な文章が多いです。

苦手な方は斜め読みしてください。

健康のための食事

厚生労働省から出ている「健康日本21」というものがあります。

健康増進法に基づき策定された「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針(平成15年厚生労働省告示第195号)」は、国民の健康の増進の推進に関する基本的な方向や国民の健康の増進の目標に関する事項等を定めたものです。本方針が全部改正(いわゆる「健康日本21(第2次)」)されました。

https://www.kenkounippon21.gr.jp/kenkounippon21/about/index.html

要は、国民の健康増進の目標をいろいろ決めたもの、という事ですね。

2000年に最初のお知らせがありました。内容の変更などもされ、2014年から「健康日本21(第二次)」となっています。

野菜は「1日350g」というのはどこに書いてある?

「健康日本21」の各論、「栄養・食生活」の中にある「現状と目標」という項目から抜粋していきます。

1.栄養・食生活 4.野菜の摂取量の増加

  [1日当たりの平均摂取量]        現状*        2010年
1.4a 成人292g350g以上
*:平成9年国民栄養調査
https://www.kenkounippon21.gr.jp/kenkounippon21/about/intro/index_menu1.html

1997年当時の成人の野菜摂取量平均は292gで、2010年の目標を350g以上としています。そして、野菜を取るべき理由に関しては以下の通りです。

また、カリウム、食物繊維、抗酸化ビタミンなどの摂取は、循環器疾患やがんの予防に効果的に働くと考えられている6)~8)が、特定の成分を強化した食品に依存するのではなく、基本的には通常の食事として摂取することが望ましい。これらの摂取量と食品摂取量との関連を分析すると、野菜の摂取が寄与する割合が高く、平成9年で成人の野菜の1日あたりの平均摂取量は292gであるが、前述の栄養素の適量摂取には、野菜350~400gの摂取が必要と推定される9)ことから、平均350g以上を目標とする。

https://www.kenkounippon21.gr.jp/kenkounippon21/about/kakuron/index.html

要は、

『「カリウム」「食物繊維」「抗酸化ビタミン」は循環器疾患やがん予防に効くと言われているけど、個別の栄養素に偏らないでね。「食事」として食べてね。「カリウム」「食物繊維」「抗酸化ビタミン」は野菜から摂取できるよ。野菜は350g~400gとるといいって言われているよ。』

まあ、こんな感じですね。

1.栄養・食生活 5.カルシウムに富む食品の摂取量の増加

 指標の目安
        [1日当たりの平均摂取量(成人)]        現状*        2010年
1.5a 牛乳・乳製品107g130g以上
1.5b 豆類 76g100g以上
1.5c 緑黄色野菜  98g120g以上
*:平成9年国民栄養調査
 用語の説明
        カルシウムに富む食品:牛乳・乳製品、豆類、緑黄色野菜
適正な栄養素(食物)を摂取するための行動の変容について(知識・態度・行動レベル)
https://www.kenkounippon21.gr.jp/kenkounippon21/about/intro/index_menu1.html

1997年当時の成人の緑黄色野菜野菜の摂取量平均は98gで、2010年の目標は120g以上とされています。その理由は以下のように説明されています。

カルシウムについては、成人で600~700mgの摂取量が必要とされているが10)、平成9年の成人の平均摂取量は571mgである。カルシウムの適量摂取には牛乳・乳製品、豆類、緑黄色野菜の寄与する割合が高い9)ことから、平成9年の成人の平均摂取量牛乳・乳製品107g、豆類76g、緑黄色野菜98gに対し、各々130g、100g、120g以上を目標とする。

https://www.kenkounippon21.gr.jp/kenkounippon21/about/kakuron/index.html

要は、

『カルシウムは牛乳・乳製品、豆類、緑黄色野菜からとれる事が多いよ。なので目標をたてたよ。』

って事ですね。

9.がん 3.野菜の摂取量の増加

この項目では、”(1、栄養・食生活参照)”とあります。350g以上の説明部分の事です。

これだけではわからない・・・

引用した部分では、この数字になる理由は書いてありません。ではどこからきたのか、さらにみていきましょう。

結局「1日350g」というのはどこからきたの?

全世界のさまざまな論文

上記で引用した文章には小さなカッコがついています。「この番号の参考文献から考えたよ」って言うことですね。そんな参考文献はこちらです。

https://www.kenkounippon21.gr.jp/kenkounippon21/about/kakuron/index.html

見事に英語です。(日本人の研究者が参加されている論文もありますが)

非常にざっくり言うと、『野菜に多く含まれるような栄養素が病気になりにくくしている』というような内容の研究論文です。(ほんとざっくりなので、気になる方はそれぞれ当たってみてください)

世界的にはどうなのか?

「全ての人々が可能な最高の健康水準に到達すること」を目的にしているWHO(世界保健機関)。このWHOでは2004年に「少なくとも野菜と果物で400g」食べましょうという指標を出しています。

これは、「食事、運動、健康に関する世界戦略」として生活習慣病を引き起こす肥満を予防するためのものです。

そして現在ではイギリスの研究者が、野菜は560g以上食べた方が良いという提唱をされているそうです。

目標を高くしすぎなようにカットした

「健康日本21(第二次)」は2014年にスタートしています。

WHOではその10年も前に「少なくても野菜・果物で400gとるといいよ」とお知らせしています。また、健康日本21の文章にも「350g~400g」と書いてあります。何故400gにしなかったか?

これは、当時の日本人の野菜摂取の平均が292gだったからです。

現状300gにも届かないのに、400gという目標は高すぎるだろうと言うことで、実現できそうな数値にしたといわれています。

これは野菜量に限らず、他の栄養素についても同じ考え方で目標設定されているものがあります。例えば、「本当は50g取って欲しいけど、今現在の調査で30gしか取ってないからまずは40gを目標にしよう。」という流れです。スモールステップ的な考え方ですね。

正確には「350g以上」

1日の野菜目標は350gではありません。あくまでも350g以上です。

そして、『「カリウム」「食物繊維」「抗酸化ビタミン」は循環器疾患やがん予防に効くと言われているけど、個別の栄養素に偏らないでね。「食事」として食べてね。』と言われています。この目標値は、あくまでも「野菜として食べたときに350g以上」というものです。

野菜ジュースなどでは力不足と言うことになります。

350g以上、400g、560g以上という数値

野菜には「旬」があります。この「旬」かどうかによって栄養価が変わってくると言われています。

また、地域や土壌によっても変わってきます。水1つとっても軟水と硬水がありますね。カルシウムなどの含量が違います。ですから同じ種類の野菜でも国や地域によって栄養価が変わってしまって当然です。でも、○○さんの畑のほうれん草は・・・なんて畑ごと調べる事は実質不可能です。

また、野菜は鮮度が落ちてくると徐々に栄養価も落ちていくと言われています。保管方法の影響を受けるので、これも個別の計測は難しいです。

栄養素をどのくらいとった方が良いかと言うことにも個人差があります。一人一人の目標値や吸収率を調べることは現実的ではありません。また、体調によっても必要量や吸収率は多少左右されます。

ですので、ここでは平均という値が採用されたりします。

上の数値は様々な研究結果を寄せ集めて色んな平均を使った予想の数値のようなものです。言ってしまえば、だいたいの目安ですね。

でも目安は大事です。何もなければ、どうして良いかわからないですから。

例えば、塩分目標は変化している

WHOは「塩分は5g以下」をおすすめしています。

日本は1979年には10g以下が摂取の目標でした。これを到達できそうになった為、徐々に目標を下げています。

2022年時点の塩分目標は男性で7.5g未満、女性で6.5g未満です。

野菜も摂取量が350gに近くなってきたら、400gに向けて目標値を上げるでしょう。しかし、2019年の国民健康・栄養調査では野菜摂取量の平均値は 280.5 g であり、男性 288.3 g、女性 273.6 g という報告がされています。

この結果は10年以上が横ばいが続いています。目標値が350gという数値を超えるのは、まだまだ先になりそうですね。

まとめ:「1日に野菜350g」と言われる理由

今回は「1日に野菜350g」と言われる理由をご紹介してきました。

国際的な研究では350gより、もっと食べた方が良いと言われています。しかし、そんなに食べる事ができていないので、とりあえず350g以上という目標が設定されています。

また、この「350g以上」というのはあくまでも「食事に野菜として食べる」目標です。

実際問題として、食が細い方に1日350g以上食べていただくのは無理があります。健康のためには、たんぱく質も炭水化物も食べないといけないからです。

ですので、あくまでも野菜ジュースやサプリなどで栄養補給をするのは補助であり、野菜を食べるよう気をつけることが大事です。

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