ナッツレルギーはどうして増加しているのか?
ナッツアレルギーがどうして増えているかというと、消費量が増えているから・・・つまり、食べる機会が増えているからだと言われています。食べなければ、アレルギー症状は出ないですからね。
クルミの年間消費量は、調査開始時点と比較すると何十倍にも増えています。
カシューナッツ・アーモンドは輸入量の推移を見ると、ほぼ右肩上がりです。
マカダミアナッツの輸入量は非常に緩い右上がりで増加しているような状況です。

ナッツ単品での輸入量は確認することができますが、ナッツが含まれる食品までは調査されていません。チョコレートを始めお菓子類にどの程度含まれているかの比率まで細かい状況はわかりません。
今後の対応は?
食品の表示には「アレルゲン(アレルギー症状を起こす食材)が入っている」ということを記載するルールがあります。
”必ず表示する”という「義務」として決まっているのが8品目、”なるべく表示する”という「推奨」とされているのが20品目あります。(2025年2月時点)
食品パッケージに大きめに「この商品には○○が含まれています」と記載したり、ピクトグラムという食材のマークがついている事が多いです。
28品目のなかでも特にアレルギーの患者数が多い食品か、重篤なアレルギー症状が出る食品が「表示義務食品」になっています。
ナッツの中で、表示の「推奨」「義務」が決められているのは以下の通りです。
ナッツの種類 | 表示の「推奨」 | 表示の「義務」 |
---|---|---|
クルミ | 当初から | 2023年3月変更 |
カシューナッツ | 2013年9月追加 | (「義務」への変更検討) |
アーモンド | 2019年9月追加 | |
マカダミアナッツ | 2024年3月追加 | |
ピスタチオ | (追加予定) |
カシューナッツは、「推奨」から「義務」表示への変更が検討されています。
また、カシューナッツとピスタチオには交差反応が見られる事がわかっているため、カシューナッツの義務表示決定と同時に、ピスタチオが「推奨」表示対象となる予定です。

交差反応とは、異なるアレルゲンでも似た形をした部位があると、その両方に対してアレルギー反応を引き起こすことです。カシューナッツアレルギーの人はピスタチオでもアレルギーが出る可能性が非常に高いということです。逆もありえます。
ナッツ類での除去指示があった場合・・・
保育園・学校などでは、アレルギーのある子どものアレルギー等の状況把握のため、アレルギー疾患生活管理指導表(以下、指導表と略)の提出を保護者にお願いしています。
指導表には原因食品を記載する欄があります。ここで、ナッツ類全てに○がついていた場合には、以下の確認をしておいた方が良いと思います。
栗・カカオ等でアレルギー発症したことがあるかどうか
基本的に、ナッツと言われると、クルミ・アーモンド・カシューナッツ・マカデミアナッツ・ヘーゼルナッツ・ピーカンナッツ(ペカンナッツ/ヒッコリーナッツ)・ピスタチオ・ココナッツなどのイメージがあります。
しかし、ナッツは日本語で木の実、成分表等で木の実を調べると、他の食品も該当してしまいます。
栗やカカオは給食提供する可能性があると思います。そのためこの2つは、念のため確認したおいた方が無難です。
一応、何が原因でアレルギーが起こったかは聞いておく
指導表はただ受け取るのでは無く、お話をしっかり聞いていきます。面談を別日にもうける場合もあります。
ナッツ類全てにチェックが入っていても、アレルギーの既往歴を伺うのは大切です。何を食べてアレルギーが出たのか、他のナッツはまだ食べていないのかどうか。
ナッツ類全てにアレルギーがある事例は少なめです。
例えば、クルミでアレルギーが出たことから、念のためナッツ類全てを除去するという考え方は近年では望ましくないとされています。クルミがダメでも、アーモンドは大丈夫な事もあるわけです。
血液検査の数値を確認したり、全てを食べて試してみて、判断することが必要です。
アレルゲンはしっかり確認する
アレルギー症状を起こす原因を、アレルゲンと言います。
必要以上に食事制限があると、食品の選択が狭まってしまいます。これは保護者にも子どもにもストレスがかかってしまうことがあるので、病院で検査できないか確認しておくことも重要です。
子どもがまだ小さい場合はナッツ全般を喫食しない食事で様子を見続け、胃腸などの消化管が成長して安定しだす小学校入学を目安に、実際に食べてみる検査に挑戦するなどの検討をすると良いと思います。これは医師と保護者で相談してもらうと良いと思います。
ただし、アレルギー症状は体調や環境変化でも起こりやすさが変わってきます。入学直後の環境変化が落ち着いてから通院を始めることをオススメします。
小学校入学後は子どもだけでの行動が増えて、保護者の目が離れることも多くなります。お友達と買い物をしたり、おやつを食べる事があるかもしれません。特にナッツ類はお菓子に入っている事も多いので注意が必要です。
タイミングにも寄りますが、アレルゲンは「念のため」で増やさず、ハッキリさせておいた方が安心です。