食物タンパク誘発胃腸炎の基準
食物タンパク誘発胃腸炎(FPIES)は、特定の食物を摂取した後、嘔吐や下痢などの胃腸炎症状を引き起こす疾患です。IgE抗体を介さない食物アレルギーの一種で、乳児期に多く発症します。
IgE抗体を介さないと言うことは、IgE抗体ではわからない・・・つまり、血液検査で判断できません。
食物タンパク誘発胃腸炎は食物タンパク誘発胃腸症(消化管アレルギー)の1つです。
乳幼児の食物タンパク誘発胃腸炎の基準
乳幼児の食物タンパク誘発胃腸炎の基準は、特定食品を食べた後1~4時間後に嘔吐があり、皮膚症状(じんましんなど)や呼吸器症状(ゼーゼーヒューヒューなど)がない事がまず大きな一つです。
これに以下のような項目から3つ以上当てはまることで「食物タンパク誘発胃腸炎」と判断する基準となります。
- 同じ特定食品を食べた後に2回以上の嘔吐がある
- 別の食品でも食べた後に2回以上の嘔吐がある
- 極度の倦怠感
- 顔面蒼白
- 緊急診療の受診
- 輸血が必要
- 24時間以内の下痢
- 血圧低下
- 体温低下
24時間以上経過すると、何事も無かったかのように通常の状態に戻ったりします。
お子さんを見て「この食品を食べさせるといつも体調が悪そう」・・・と言う場合には医師に症状を伝え、相談することをオススメします。
成人の食物タンパク誘発胃腸炎の基準
成人の食物タンパク誘発胃腸炎の基準は、特定食品を食べた後1~6時間後に消化器症状が見られます。
これに以下のような項目から3つ以上当てはまることで「食物タンパク誘発胃腸炎」と判断する基準となります。
- 同じ特定食品を食べた後に2回以上の同じようなエピソードがある
- 特定食品を食べなければ、症状が出ない
- 過去には特定食品を食べる事が出来ていた
- 他の疾患の可能性がない(食中毒症状、アニサキスなど)
成人では下痢・腹痛・嘔吐が多く見られる症状です。20歳~40歳の年代に多く、さらに女性に多いという結果があります。
「この食品を食べると体調が悪くなる」「あてはまるかもしれない」・・・と言う場合には医師に症状を伝え、相談することをオススメします。
成人と乳幼児の診断基準は、少し違ってきます。
どの食品で起きやすいか
食物蛋白誘発胃腸炎はどの食品で起きやすいかというと、一番は鶏卵、特に卵黄が原因の事が多いです。
他には、乳幼児の場合は牛乳・小麦・バナナ・アボカド・大豆・ナッツ・類・肉類なども原因となることがあります。
成人の場合は、甲殻類・魚類・二枚貝(特に牡蠣)などの魚介類が原因となることが多いです。「牡蠣にあたったかもしれない」という場合には、こちらの可能性があるかもしれません。(あくまで可能性です)
あまり聞き慣れない・・・
日本では食物アレルギーほどの認知がまだ無いため、診断には時間がかかることが多いです。